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2002年の秋、350万人の学校教師(310万の公立校教師と40万の私立校教師)が、小・中・高等学校で、授業を受け持った。 1990年に比 べ、27パーセントも増加している。1999年度は、学校教師は、ほとんど、白人(84.3%)で、その他、黒人(7.6%)、ヒスパニック系 (5.6%)、アジア系(1.6%)、 アメリカンインデイアン系(0.9%)であった。一方、2000年秋、生徒の人種民族構成は、白人 (61.2%)、黒人(17.2%)、ヒスパニック系(16.3%)、アジア系(4.1%)、 アメリカンインデイアン系(0.9%)であった。1999 年度に、公立校の一クラスの生徒の数は、小学校で、21.1人、中・高等学校で、23.6人である。また、2000年の秋に、教師 と生徒の割合は、小学校で16.5人で、中・高等学校で、16.6人で、オールタナテイブスクールで、15.2人、特別教育学校で、7.0人、職業学校 で、12.7人であった(Digest 2003)。
1999年度に、教師経験が三年以内の教員の割合は、公立校の16パーセント、私立校の23パーセントである。教師の平均年齢は、 1970年代半ば に多数雇用した教師が年を取っていくにつれ、上がっている。1996年の春、4分の3(74.4%)の公立校教師は、女性で、平均年齢は、44歳で、平均 教師経験年数は、15年であった(Digest 2003)。1987年から2000年の教師の保持率の調査によると、新しい教師のほぼ3分の1が三年後には、教師をやめているし、五年後には、ほぼ50 パーセントがやめている。主な理由は、仕事環境の不良、給料の低さ等である (LA Times 2003年2月10日)。
1999年度の公立校の教師の最終学歴に関して、52.0パーセントが学士号を、41.9パーセントが修士号を、4.7パーセントが教 育専門家の資 格を、0.7パーセントが博士号を持っている (Digest 2003)。 校長は、一般に、教師より年上で、より高い教育資格を持っている。1999年度には、66パーセントの校長は、 男性で、90パーセントの 校長は40歳以上で、98パーセントは修士号かそれ以上の学位を持っている (Digest 2003)。
公立校の教師の給料は、1990年代に少しずつ上がり、2001年度には、平均44,604ドルに達した。教師の給料は、他の四年制大 学卒業資格の 職業等と比べて少ない(Digest 2003)。私立校は、教師に、公立校の教師の給料の70-80パーセントの給料であるが、公立校より、クラス人数が少なく、より行儀の良い生徒が多く、 教師の自由自立度も大きい場合が多い(LA Times 2001年8月8日)。多くの教師は、夏休みに、他の仕事をしたり、夏期講習を教えたりしている。教師の給料を上げることは、適格な教師を保持することに 大切である。3分の1の教師が、教職以外の仕事にも就いているし、その仕事のほとんどが教育と関係ない (Sato and McLaughlin 1992:362)。
教職は、他の大卒の職業に比べて、給料が安く、職業地位も低いので、成績優秀な高校生は、教育学部をあまり目指していない。1997年 のカリフォル ニア州の大学進学希望の高校4年生のうち、教育学部に行きたい生徒のSAT(学力テスト)の平均点数(949点)は、言語・文学部を希望するの生徒 (1,141点)や数学専攻を希望の生徒(1,149点)に比べて、低い(LA タイムズ 1998年5月19日)。
教師は、学校管理行政、カウンセリング、課外活動に関わらない。1989- 1990年に行われた調査によると、日本の教師は、アメリカの教師よりも 少なくとも、週に20時間以上、 学校内でいる(Sato and McLaughlin 1992)。子どもの個人的成長や行動問題は、保護者が考慮するべきであり、教師の分野ではないとしている。教師は、ほとんど自分自身の教室で過ごし、授 業が終わると帰宅する。近年、ほぼ教師全員が、少なくとも一つのカリキュラムや教授法についてなどの教師発展活動に参加している(NCES 1999)。
補助教員が、教師の助手として、授業に参加してから、40年以上になる。公立校では、700,000人以上の補助教員を雇っている。 1999年の調 査によると、500,000以上のフルタイムの補助教員(paraeducators)が全国にいる。補助教員の務めは、記録取り、資料の準備、昼食時や 自習の監督、学習センターや学習用具の整備だけでなく、今日では、直接に教授に関わり、生徒や保護者に色々なサービスなどを提供している。教師の指図の 下、補助教員は、授業中に個人や小グループに教え、成績評定を補助し、標準テストを管理し、生徒の学業業績を記録し、教師と関連した情報を交換し、プログ ラム計画のチームに参加したりしている。補助教師から正規の教師になるプログラムもたくさんある(Pickett 1999; Eubanks 2001)。
アメリカの教職員組合組織は、270万人の全国教職員組合NEC(National Education Assn.)と875,000人のアメリカ教職員組合AFT(American Federation of Teachers)に代表される。NEAとAFTのリーダーは、両組合の合併について、1970年の初め頃から協議しているが、二つの組合の文化的、伝統 的違いを埋めるのは難しいようである。AFTは1916年に、産業組合が、集団でバーゲンをする権利を持つために闘争を繰り広げていた頃に形成され、全国 組織の労働産業組合(AFL-CIO)に属している。一方、NEAは南北戦争(1861-1865)後、反組合、専門家の組織として形成されたが、 1960年代に集団バーゲンの積極的な支持者となった (LA タイムズ 1998年7月6日、1998年7月19日)。 カリフォルニア州教職員協会(California Teachers Association)は、教職員組合ではないが、300,000人の公立校の教師から成り、教師の終身雇用制、教師の給料の一定化、二ヶ国語教育等を 支持してきた (LA タイムズ 2000年1月7日) 。
(文責:石 木田美貴)
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